2009年03月05日

トーナリティがない電車

090305
とあるクラスに行ってみると私を含め2人しか来ていない。先生もちょっと困って「なぜかしら?」なんて言いつつ「ところでこの間のヘンリーグライアムスはどう思った?」という話をもち出す。「すごくstrangeだった。トーナリティがないのに驚いた。そしてずっとひきつづけることにも。」と言うと。「そうそう、彼はトーナリティがないわよね。メロディもリズムもハーモニーもない。」
これをきっかけに今日はアヴァンギャルド(フリージャズの一種)についての話になった。
まずは歴史を簡単に教えてくれる。
第二次世界大戦が終わって50年代は、全くの何もない(clean ,quietly)な時代になった。後にビバップとかも生まれるんだけどシカゴでAACM(Association for the Advancement of Creative Musicians)というムーブメントが始まってそこから色々な人が出てきた。例えば、、、(と、you tubeで色んなアーティストを教えてくれる)。
色んな人を見て聴いた後にヘンリーグライアムスのCDを聴いてみる。ブルーのジャケット2枚組で一枚はベース、一枚はバイオリンで延々と70数分間インプロバイズしているというCD。やはりこの人独特のプリミティブなバイオリンの音色があるし不思議な魅力がある。そういえば、「彼はmiddle(真ん中)だけをひく。」とも言ってたな。インプロバイズって普通、導入部があって盛り上がってきて自分もお客さんも飽きないように変化してとかだけどこの人はとにかく真ん中のみ。
日本ではフリージャズというと限られた人達の、好みが二分される音楽だけど、アメリカでは根強いファンを持つポピュラーなジャズのカテゴリーなんだなと感じた。
思わぬ、ステキな講義だった。

ボストンは日本人がけっこう多いこともあってネット掲示板で活発に情報交換がなされている。そこで最近、買おうと思って予約していたキーボードを受け取りに、地下鉄(でも次の駅から路面電車になるけど!)で5駅くらいの隣街まで行くことにした。
ボストン ユニバーシティ(BU)の方へは初めて来た。昔、東京の音大に行っていたときも、なかなか住んでいる街から出なくて(学校のある調布市仙川というところに住んでいた。)、仙川こそが東京だと信じていたもんな。出不精なのがボストンでも発揮されているかも?!
BUはボストン一大きな大学で、建物はどれも大きいし駅はWest,Central,Eastと3つあるし若い人多いし、ちょっとバークリーのまわりとは雰囲気が違う。
その近くの、初めて会う人のお宅でキーボードとか譜面台とか本とかを激安で買い帰路につく。キーボードはケースなしハダカのまま持っていて、これ東京じゃ変な目で見られるよなーと思うが、アメリカはこんな人いっぱいいるから全然大丈夫!このあたりはアメリカで楽なところ。
さて、帰りの電車に乗り込むと、3駅くらい行ったところで電車が止まった。車内の電気も消えたり付いたりしている。運転手さんがなんどかエンジンをかけ直そうとするがかからない。無線でやりとりをしたりしているみたいだけど、、、。そのまま5分10分。応援の人がやってきた。なんか話したりしてエンジンをかけようと試みる、がなかなかかからない。なんだかんだまた5分10分。一度かかって1mくらい進んで50cm下がって止まった。なんかの歌みたいだな。しばらくしてどんな力を使ったのかノロノロ動き出す。ほどなくして駅に到着。そのままどうするのかと思ったら、どんどん乗客が降り始めた。隣に止まった後ろから来た電車に乗り込んでいく。こりゃ私も行かねば、とあわててキーボードを持って移動。そのおかげでなんとか帰れた。
案外長かったこの間、私は興味深く静観していたんだけど、「これこれこういう事情で止まっております。」とか「大変申し訳ありません。」とか運転手さんが一言もアナウンスしなかった。「どうして止まってんの?」とか「急いでるんだけどどうしてくれんのよ。」とか言うお客さんが一人もいなかった。そして、隣の駅にたどり着いて乗客が自発的に後ろからやってきた電車に乗り換えた。これはびっくりで面白かった。
日本だと(東京だけかもしれないけど)ちょっとでも遅れると駅員さんに詰め寄ったり、ひどいと殴っちゃったり、電車会社もすぐに丁寧に謝るし。これっていいことなのかどうなのかとうすうす疑問に思っていたけれど、比較してみるとあまりに対極的で面白かった。
posted by ayumi at 00:00| 日記