2009年05月12日

ビル・フリゼール.トリオ@ビレッジ・バンガード

090512
アメリカに来てよかったな?と思ったことのひとつにビル・フリゼールのライブを何度も聞けるということがある。しかもこの人ライブも旅公演も大好きみたいでよくボストンにも来てくれるしいつでも違う編成なので、違うシーンでのビルフリを聞くことができる。
今日は、ビレッジ・バンガードという小さな小屋でトリオのライブ、私は11時からの回を目指して行くと、バークリー生でビルフリファンのFくんの姿が見えたので隣に座らせてもらう。なんと一番前!わーい!!
エフェクターが曲線を描いて7個くらい並んでいるのを眺めながら登場前のワクワクを楽しむ。
今回のライブは長年やっている気心知れたトリオでの一週間公演。
まもなくアナウンスもなく、ゆるりとビルフリ登場。
とりあえず、第一印象で勝手にあだ名を付けた。
ビルフリはビルフリ、ベースの人は「趣味ボーリング」、メガネをかけた時のアンディ・ウォーホルみたいな風貌のドラムの人を「科学者」と命名。(なぜつけたんだ?)
エフェクターを使ったビルフリサウンドからステージはスタート、徐々に「曲」へと移行して行く。
もうとにかく素晴らしいの一言。3人の一体感たるや!!
完全に3人の音楽が同じ方向に向かっている。
走り抜けているかと思えばクッと曲がり角を曲がってみたり。譜面を見なくても言葉で言わなくても、「こうするんじゃないか、こうしたいんだ、こうかもね、そうだったらこう」とかをお互い感じながら、決して押し付けず、3人の出している音の中で3人で同じ方向に走っている。

数ヶ月前に見たビルフリは同じ編成でロンカーターとポールモチアンというトリオだった。
この時のトリオは個々は素晴らしいのだけど、一体感や走り抜けてる感じはそんなになかった。正直言って全然今回の方がいい。

今日驚いたのは「趣味ボーリング」ベースの人の弾き方がなかなか変わっていたことだ。
右手のピッチカートのしかたは詳しくないので分からないけど、左手は見てすぐに分かるくらい、いわゆる標準的な弾き方からはずれている!!
ネックを握りしめるようにしてひき、親指が第5の指としてたびたび登場する(クラシックの奏法では親指はハイポジションで使ったりするくらい、あとギタリストがたまに6弦を押さえるために使うけど、こんなに普通に使っているのを目撃したのは初めて)。4本指とは反対の方向からひょいと出ては4弦を押さえる。自己流なんだなあ、自己流でも良い音楽だったら何の問題もないよなぁ。
ドラムの「科学者」は演奏している時はたいてい目をつむっている。ビルフリと「趣味ボーリング」が互いに向き合いながらやり合っているのを耳から吸収して色んな場面や環境を作っている感じ。うーんすばらしい。

とにかくすごく良いステージだったので終ってからも興奮冷めやらなかったのだけど、Fくんが「楽屋に行こう」と言う。そんなー、ファンだからこそ無理無理!なんて言うと、Fくんは果敢にも楽屋(というか狭くて汚いただの部屋)に入って行き話しかけ始めた。ものすごくしどろもどろの英語で「今度のボストンのライブに行きます。もしできたらレッスンしてもらいたいんですけど。」と言っている。見ているこっちまでキンチョーしてしまう話し方。どうやら今日はこれを言うぞと覚悟してきたらしい。ビルフリは、「ちょっと今すぐには分からないけど、、」と言いつつも「連絡先を書いて、」なんて言っている。良い人だなぁ。声ちっちゃいし。Fくんのもたらしたキンチョー感たっぷりの空気を和らげようと「日本でのコンサート行きました。ベニシウスとかジャキスとかと一緒にやってた、、あのコンサートすばらしかった!」と言うと「ああ!あれもうだいぶ前だよね。」と答えてくれた。便乗して一緒に写真を撮ってもらった。
ゆ、夢のようだ。

May 12 - May 17
BILL FRISELL TRIO
Tony Scherr-b, Kenny Wollesen-d
posted by ayumi at 00:00| 日記