2008年12月03日

ショーターズ宇宙

081203
今日のクラスでもテストのこととかの話題騒然。英語の内容が分からないのでそこだけ録音したり先生にものすごくストレートな英語で確かめたりする。(「これ、ひくの?」「どれか選ぶの?」)恥ずかしいけどでもこれをしないと見当違いなことをしていることがよくあるのだ。今日の授業が終わって実技の試験の予約を取ろうとしていたら日本人の友達がいたので「何を弾くの?」なんて話していたらこの試験には決まった内容があるんだよ、と言われた。ユージーンと実技試験とかの話をしたことが一回もない私は寝耳に水。全然関係ないバヨリンの先生に質問したら、「ユージーンに聞いた方がいいよ。」と念を押されながらも一般的な内容を教えてもらった。ちょっとアセる。しかしこれはユージーンのアーティスティックな一面がよく出ているエピソードだと思う。ユージーンは昨日のレッスンの時も「ごめん。私はマウンテンに住んでいるから雪用の靴しかなくて。ここに来た日の朝は雪が積もっていたんだよ。」と靴下で歩き回っていたし「トゥデイ、イズ、ブルースデイ!」と私が言ったら「イエーイ!」答えてくれ、Emのブルースを習っていたのだ。今までもそんな感じ。テストとか眼中になくて音楽を習っているからいつも楽しすぎて、チェロの可能性の広さに毎回びっくりし出来ないテクニックも楽しく教えてもらってフワフワとレッスンを終えていたのだ。その昔、大学生の時は泣きながらレッスンに行って帰りに公園でひとしきり泣いて帰っていたのに、とつい思い出してしまうな。ま、テストについてはおいおい聞いてみよう。でも多分、自分で決めてやることになるんだろうなー。

夕方にまた、フィルム・スコアリングのレコーディング。30分くらいで録り終えて楽器をしまっていると、学生の男の子が「ちょっとここで待ってて、銀行に行ってくるから。」と言ったままいなくなり、戻って来たかと思うと$5ドルくれた!!$5ドル!ウケたけど、その気持ちが嬉しいよね!ハハハ!

ウェインショーター、75才だって!すっごい前に演奏を聴いたことがある。15年くらい前かな。LIVE UNDER THE SKYというライブイベントがあって、そのころはなんかジャズに興味を持っていて行った。北九州で。しかもなにかの手術をしたあとで退院して1週間目での野外コンサートで、さすがにクラクラと倒れそうだったのを覚えている。でもこの時はすごい出演者たちだったのだ。
そして今日のウェインショーターのステージ、静かにゆっくりと怪しげに始まった。何、これはジャズ?フリージャズ?分かんないまでも聴き入る。どうなっているのか、何を弾いているのか全然分からない(悪い意味じゃなくて)。でも成り立っている。譜面とかなくて抽象絵画かなんかを見て演奏しているんじゃないかと思った。でも上から見ていると確かに譜面を見ている。そしてだんだんと分かって来た。ウエインズ宇宙に行っているのだ。完全に飛び越えている。宇宙。すごい。なんかすごい。盛り上がるともう、ショーター宇宙すごい!何がどうなってるか全然分かんないけどとにかくすごい!そんなでしたよ。
 ショーター宇宙ってミステリアス。例え『長調=メジャー』な部分が出てきても明るい感じにはならずにやっぱり怪しげなミステリアスな感じが漂う。それから、今日のコンサートは曲が切れなかった。何かしらの音があっての曲つづき。もちろん独立した一曲一曲を演奏していたのだろうけどそれを感じさせず、横に横に絵巻物のように流れて行ったのだ。そこで私は重大なことに気づいた。曲なんて別に終わらなくてもいいんじゃん、って。終わる必要があれば終わればいいけど、その必要がないときは別にいいんだ。これは終わると言う前提に成り立っている音楽に埋もれていてつい忘れていた。大きいよ、これ。あと後半に来て思ったんだけど、これは私的に名付けると「ジャズのコートを羽織ったシンフォニー」じゃないかと。そんな受け取りかたをしました。
アンコールに応えてくれて、この時だけはコード進行ぽいものがあったのだけど、途中から結局ショーターズ宇宙に飛び立ちました。
posted by ayumi at 00:00| 日記